第四章

5/23
前へ
/1380ページ
次へ
『異様』を目にした十真(とおま)は不思議そうに二人を見ていた。 十真:「あんた達って一体…」 ラーン(♂)はちらりとライズ(♀)を見た。 ラーンは小さなため息を吐く。 ラーン:「ごめんね、トオマ。僕達はこの図書館(インディフォーク・ライブラリー)の『映像と言語』を管理するレパード族の双子だよ。僕はラーン、彼女が姉のライズだよ」 ラーンは「よろしく」と言って微笑む。ライズは十真にあまり興味がないのか、無愛想に小さく頭を下げる。 十真:「『映像と言語』??、管理…?」 ラーン:「僕とライズに会えたってことは…この『図書館(インディフォーク・ライブラリー)に存在しない何かを知りたい』って事だよね?…何が知りたいのかな?」 ラーンはライズと違って笑顔が絶えず、雰囲気が柔らかかった。 双子は双子でも、雰囲気は正反対だった。 十真:「え?…此処にもない本を俺は探しに来てたのか!?…なら…あんた達に言っても意味がないんじゃ…」 ライズ:「一一私達に会えたことは何かしら意味があるわよ。ここは『そういった場所』だから」 十真はライズを見る。 十真:「『そういった場所』って?」 ライズ:「この図書館(インディフォーク・ライブラリー)は全体的に魔法を帯びた空間。私達が会えたってことは貴方にとって私達が必要ということよ」 ラーン:「『意味のない出会い』はこの空間ではありえないからね」 レパード族の双子は寄り添いながら、十真にそう告げた。 十真は頭を掻きながら、二人を見た。 十真:「一一図書館(インディフォーク・ライブラリー)に本が無いってことは…それだけヤバイ内容を俺は知りたがってるって事なんだけど…あんた達は秘密とか守れるのか?」 十真の言葉にライズとラーンは見合ってニヤリと微笑む。 ライズ:「私達は囚われの鳥」 ラーン:「此処は僕達の籠(かご)」 ライズ/ラーン:「私(僕)達に自由が無く、いつも二人だけの世界。だから誰かに話すことはありえない」 十真:「ぅ…流石…双子…」 全く同じ言葉とタイミングに十真は目を丸くしながら驚いていた。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加