第四章

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ラーン:「だからさ、遠慮なく僕達に言いなよ」 ラーン(♂)はそういうと、右手を上げる。 すると、双子の真後ろに1つの小さな丸いテーブルと椅子が3つ…現れる。 十真:「ぇ…魔法!?…此処…魔法が禁止なんじゃなかったのか!?」 ライズ:「私達は例外よ。でも…強力なものは扱えないわ。…さっさと吐いて楽になりなさいよ」 十真:「吐くって一一なんか今から事情聴取されるみたいな気持ちになってきたよ…」 十真(とおま)がため息を吐くと、ライズとラーンは不思議そうに彼を見ていた。 ライズとラーンに遅れて、十真は椅子に座った。 < 数分後 > 十真はライズとラーンにゼファルとクレイフィンに話したウルフハウンド族とポアスティング族の争いについて疑問に思いだしたことを二人に包み隠さずに告げてみた。 十真:「一一という事なんだけど」 十真はあまり期待をせずに二人の言葉を待ってみる。 15歳ぐらいの彼等にとって、明らかに知りえない情報だったからだ。 しかし、十真は気付いていなかったが、ライズとラーンの顔色は先程と違っていた。 ラーンはライズの様子を窺(うかが)いながら、彼女に「大丈夫だよ」と呟くように微笑むと、十真が求めているであろう答えを述べる。 ラーン:「ああ…その問題か。その問題を口にする前に、少しだけ種族が持つ立場を説明しなきゃいけないかな?」 十真:「ぇ、知っているのか!?」 ラーン:「僕達を見た目だけの年齢で判断するのは良くないよ、トオマ」 ラーンはニヤニヤと十真に笑う。図星だった十真は「ぅ…」と詰まった。 詰まった十真を見てラーンは笑い、ライズは呆れ返っていた。それから直ぐにラーンは表情を真面目な顔つきに変えてから十真を見つめた。 ラーン:「一一トオマ、君はどこまでこの世界に集う種族達の存在を理解しているのかな?」 十真:「っ!」 十真はラーンの表情に少しだけ戸惑う。彼はラーンに対して、ゼファルと話すときのような親しみやすさを感じていたが、その新しい雰囲気に身体がビクッとなってしまう。 ライズはそんな十真を見てため息を吐く。
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