第四章

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ライズ:「トオマ、肩の力を抜きなさいよね…私達は別に貴方をどうこうするつもりはないんだから…」 十真(とおま)はぶっきらぼうにそう告げるライズ(♀)を見て自然と目元や口許が和らぐ。彼女の持つ雰囲気が何故か、自分の妖精であるフォルメントと被って見えた。 十真:「一一あ…そう…だよな。えーっと…俺、この世界に来て間もないから…何も知らないに近いんだけど…」 十真は怖ず怖ずと呟きながら、ライズとラーン(♂)を見る。 十真:「あ…」 すると、ライズとラーンはそのことを知っていたかのような表情をしていた。 ラーン:「あまり期待はしてなかったから、そのまま話を続けるよ」 ラーンはまず、人間、ウルフハウンド族、ポアスティング族、ザイル族、レパード族のこの世界における立場をゆっくりと話し始めた。 ラーン:「この世界に召喚された4つの種族は大きく2つのタイプに分けられるんだよね」 十真:「…2つのタイプ…?」 ラーン:「うん。『積極的』と『消極的』…トオマは何がどっちに入るか分かるかな?」 十真は「うーん…」と考え込む。彼は頭の中で、出会って来た彼等の人柄を見直してみる。 十真:「積極的なのは一一ザイル族と…ウルフハウンド族?…消極的なのは人間、ポアスティング族…レパード族かなぁ?」 ライズ:「まぁまぁ、好い線行ってるんじゃなくって?」 十真:「ぇ…外れ??」 ラーン:「ははは…正しくは一一積極的なのはウルフハウンド族とポアスティング族だよ。ザイル族も一見、そう見えるかもしれないけど…彼等は対戦よりも『私生活』を楽しむ意識のほうが強いみたいだからね」 ラーンはそういって苦笑する。十真はポアスティング族の女がザイル族の女に勘違いで嫉妬し、対戦したのを思い出す。 よくよく思うと、ザイル族の男はよく同族の女に声をかけている場面を見たことがあった。 十真:「あ…言われてみればそうかもしれない」 ライズは二人の会話に肩を落とす。 ライズ:「ザイル族の男ってば直ぐに女女女、だから…私、嫌いよ」 ライズの言葉にラーンが彼女を落ち着かせる。
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