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ラーン：｢まぁまぁ…彼等の場合は一夫多妻性だから…しかたないよ。やっぱり…種族を残した一一ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ｣
ラーン(♂)は語尾を徐々に濁す。彼が語尾を濁したのには理由があった。
何故ならライズが鋭い視線を彼に向けたからだった。
十真：｢あははは！、尻に敷かれてるなぁ…ラーンは｣
ラーン：｢ぅ…やっぱり…双子とはいえ…本能的に姉には逆らえません｣
ラーンが肩を落とすのを見て十真(とおま)が再び笑い、ライズの眼差しが再び鋭いものになった。
ラーンは慌ててその場の空気を変えるように、｢コホン｣と小さな咳をする。
ラーン：｢えーっと…本題に戻すけど一一トオマが知りたいっていうｳﾙﾌﾊｳﾝﾄﾞ族とﾎﾟｱｽﾃｨﾝｸﾞ族の争いの真相の事なんだけど…｣
十真：｢あぁ…｣
十真が身を乗り出すように、ラーンを見る。
ラーン：｢この話をするためには積極的な種族であるｳﾙﾌﾊｳﾝﾄﾞ族とﾎﾟｱｽﾃｨﾝｸﾞ族の妖精界で担っている役割があり、その中で対立しているのは知ってる？｣
十真：｢…え？、担っている役割？｣
ライズとラーンは顔を見合わせる。二人は図書館(ｲﾝﾃﾞｨﾌｫｰｸ･ﾗｲﾌﾞﾗﾘｰ)で自分達に行き着いたのにもかかわらず、それを知らない事に驚く。
ライズ：｢…知らないの？｣
十真：｢ぅ…その反応…まさか担っている役割って…かなり有名なのか？｣
ライズの言葉に十真が落ち込む。
ラーン：｢んー…どうだろう？一一昔はともかく、今はそんなに必要性を感じる役割じゃないから…知らない人が多いかもしれないね…｣
ラーンは顎に手をそえながら言った。
考え込むラーンを見た十真は疑問に思う。
十真：｢(ラーンが言う『昔』って…いつぐらいの事だ？…様子から見てみると…俺達が求める答えは一一今からかなり昔の出来事なのか…？)｣
ライズ：｢………｣
ライズはラーンと十真の様子や言葉を聞く中で、一人だけ無言を貫き、どこか遠くを見つめていた。
ラーン：｢一一ライズ？｣
ラーンはそんなライズの様子に気付いて彼女に声をかける。
ライズはゆっくりとラーンに視線を向ける。彼女の表情は心、焉(ここ)に在らずといった様子だった。
ラーンはそんな彼女に少しだけ悲しみを帯びた眼差しを向け、労(いたわ)るように小さく微笑む。
その二人の様子に十真は気付くことはない。
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