第四章

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ラーン:「やがて、当時の妖精王は、その種族の子供を自分の手中におさめたんだ」 十真(とおま)は頷く。 十真:「そしてその後に二つの種族が争いに入るんだな?」 ラーン(♂)は頷く。 ラーン:「そう…保守派のポアスティング族はもちろん、妖精王の手中に落ちた種族の子供を時代の流れとして当たり前のようにして、対戦で命を絶たないように気をつけて守ってきた。一一だけど、革新派のウルフハウンド族がその方針を快く思っていなかったんだ」 ラーンはそこで言葉を切って十真の様子を窺う。十真の頭の中では、その子供が持つ特別な力が気になっていた。 十真:「(…当時の妖精王までもが…欲しがる特別な力って…何だろう?)」 ラーンはそんな十真に気遣う事なく、話を進める。 ラーン:「革新派のウルフハウンド族は根っからの対戦好きなのはこの世界でも知らない人が少ないんだけど、知ってた?…当時の妖精王が目を付けたある種族の子供に興味を持つのは当たり前な事だった。一一彼等は、保守派のポアスティング族の隙あらば…対戦を申し込もうとした。強行な手段を選んで来たウルフハウンド族にとって、ポアスティング族の怒りを買うのは時間の問題だった…」 十真:「…で、怒りを買って大戦争?」 十真の言葉にラーンが悲しみを帯びた眼差しを帯びたまま、微笑む。 ラーン:「大戦争一一とまではいかなかったみたいだけど…革新派のウルフハウンド族が、ある種族の子供を守る保守派のポアスティング族の潰しに掛かったんだ。連日、その子を守ってたポアスティング族達に対戦を躍起になって依頼し…依頼を拒否する余裕を持たせないようにして、ね」 ラーンは苦笑する。 十真:「うわっ…それは酷い…そのやり方にポアスティング族達は堪えたのか?」 ラーン:「一一堪えなければならないよ。彼等にとって、潰されたら返れば良いという精神で持ってたから…全て受けてたったみたいだからね」 ラーンはニコッと微笑む。 十真は顎に手を添えて「うん…」と唸る。 十真:「(一一流石は、クレイフィンの一族ってやつか。でも…ゼファルとウルフハウンド族のイメージが違いすぎるから…何とも言えないなぁ…)」 唸る十真からラーンはライズ(♀)のほうに視線を移し、彼女の手に自分の手をそっと置く。
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