第四章

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ライズ:「!」 ライズ(♀)は思わず、ラーン(♂)のほうを見た。 ラーンはただ、ライズに微笑みかけていた。 ラーンは彼女に、「大丈夫だよ」という気持ちを込めて手を握ってあげた。 ラーン:「これが僕の知る保守派のポアスティング族と革新派のウルフハウンド族の昔から続く争いの真相。一一僕達は結局、どちらかが勝ったのかは知らない。…その話を知らない今の時代の彼等だからこそ、未だに深い問題として残ってるんじゃないかって思うよ」 十真:「成る程…お互いに、種族の誇りが高そうだからな…」 ラーン:「そういう事。一一トオマ、君の悩み…解決出来たのかな?」 ラーンは優しげに十真に微笑む。 十真は争いの真相を知ることが出来たので満足そうに頷き、微笑む。 微笑んだ瞬間、座っていた十真の正面に、ライズとラーンの真後ろに扉が突然…姿を現した。 十真:「うわっ…な、何だ!?」 ライズとラーンは後ろを振り向き、扉を見て少しだけ懐かしそうだった。 ライズ:「トオマ、貴方の歩むべき道が開いたわよ」 十真:「うん…ありがとう、ライズ…ラーン」 十真はその時、ラーンの話に出て来た『ある種族の子供』の『種族』を聞くのをすっかりと忘れてしまっていた。彼は扉から後ろに立って手を振ってくれているラーンに気付かずにパタンと閉まる音が図書館(インディフォーク・ライブラリー)に響き渡る。 取り残されたライズとラーンはテーブルと椅子を消却すると、再び…『有り余った時間の中で』、二人だけの時間が始まるのだった。
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