第四章

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< 真っ青な空間 > 十真(とおま)はフォルメントと分かれた真っ青な不思議な空間に戻ってきた。 受け付けの妖精①②が来た時とは逆向きに十真を迎え入れる。 妖精①:「お帰りなさい、トオマ様。貴方の悩みは解決出来ましたでしょうか?」 妖精①②は十真を見つめると、彼は返事する代わりに頷く。 妖精②:「では、こちらの手続きを解除させてもらいますね」 妖精②が右手を上げると、彼等の後ろからフォルメントが入った『クリスタル』の結晶が真下からひょいっと飛び上がってきた。 十真:「フォルメント!?」 十真は『クリスタル化』したフォルメントを見て驚愕する。彼女が自分と離れてからこうなったことを知らなかった。 『クリスタル化』したフォルメントは、十真と妖精①②の間に出来ていた程よい距離を跨ぐようにして静止していた。 妖精①:「心配する必要はありません。貴方の魔法封じの為にパートナーである妖精は全て『クリスタル化』しなければならない決まりがあります」 妖精②:「パートナーが戻ってくれば彼等は元通りになりますので、ご安心下さい」 妖精①②はそういうと右側に座る妖精①は右手を、左側に座る妖精②は左手をフォルメントに向かって掲げる。 妖精①②:「制御解除。クリスタルから解放します」 口を揃えてそう口にすると、フォルメントを包み込むクリスタルからまばゆい光りを放ちはじめる。 十真はその光りに思わず「うわぁぁぁ」と叫び、両腕で光りを遮る。 十真:「(一一フォルメントっ)」 フォルメントの身体を包み込んだクリスタルは「ぱきぃん」と弾け飛ぶ音が真っ青な空間に響き渡る。 フォルメント:「…ぅ…?」 フォルメントはゆっくりと目を開けてキョトンとしながらも、パタパタと羽根を動かす。 十真:「フォルメント!!」 十真はフォルメントに向かって片手を伸ばす。 フォルメントは十真の声が真下から聞こえてきたのに驚きながらそっちを向く。 フォルメントは自分の両手を十真の右手に乗せ、妖精①②のほうを見る。 妖精①②:「契約は無事、終了しました。またのお越しをお待ちしております」 妖精①②がそう言うと、十真とフォルメントが入って来た焦げ茶色の扉がゆっくりと開く。 十真/フォルメント:「あ…」 二人は向こうの通路を久しぶりに見るような感覚にとらわれたように目を細める。
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