第四章

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< 十真の部屋 > 十真(とおま)はそのまま図書館(インディフォーク・ライブラリー)を後にすると、フォルメントを左胸のポケットに収納することなく両手で包み込むようにして自分の部屋に戻ってきた。 十真は図書館(インディフォーク・ライブラリー)で出会ったレパード族の双子の姉弟のライズ(♀)とラーン(♂)の事とラーンから聞いた話を思い出しながら、ベッドに腰掛ける。 フォルメントは未だに十真の両手の中だった。彼女は心、焉に在らず…といった様子で呆然とした彼を身体を捻りながら見上げる。 フォルメント:「トオマ…どうしたの??一一ウルフハウンド族とポアスティング族の争いを調べた内容…そんなに酷いものだったの…?」 フォルメントが十真に心配そうな眼差しを向ける。 十真はフォルメントの声にピクンと反応をする。彼はゆっくりと彼女に曖昧な微笑みを向ける。 十真:「多分…俺や皆が知りたがっていた核心を衝き止めた内容を掌握することが出来たと思う…。でも…クレイフィンやゼファルがこれを知って…仲が悪くならないか心配…なんだよ、フォルメント…」 十真は両手を離してフォルメントを解放すると、そのまま顔を覆うように頭を抱え込む。 パタパタと十真に近寄るフォルメントは彼に優しく微笑む。 フォルメント:「大丈夫よ、トオマ。…きっと大丈夫」 そう言ってフォルメントは両手で十真の片手に触れる。 十真:「…ん」 十真はキリッと顔の表情を引き締めながら頷く。それから顔をパンパンと軽く叩くと、フォルメントに言う。 十真:「よしっ、気弱な俺は俺らしくないな…フォルメント、ゼファルとクレイフィンに聞いた話を伝えたいから…何処で落ち合うか…聞いてみてくれないか?」 フォルメント:「えぇ、良いわよ」 フォルメントはそう言うと、二人の妖精のシンザスとティニーに妖精同士でしか出来ない通信を開始する。
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