第四章

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十真(とおま)は自分を真っ直ぐに、真剣な眼差しを向けてくれているゼファル達を見てドキドキと緊張していた。 フォルメント:「(トオマ…大丈夫よ)」 フォルメントは十真の心に優しく語りかける。十真は彼女の言葉と声音に緊張がゆっくりと緩和されていく。 十真はゆっくりと深呼吸をすると、口を開く。 十真:「一一ゼファルやクレイフィンは自分の種族の立場って…知ってるかな?」 ゼファルは少しだけ目を開き、クレイフィンは微動だにしなかった。 クレイフィン:「…それなりに」 ゼファル:「え?…どういう事??」 十真:「実は一一『図書館(インディフォーク・ライブラリー)』で、歴史に詳しいレパード族の双子の姉弟に教えてもらったんだけど…ウルフハウンド族とポアスティング族にこの世界の中で革新派と保守派に分かれてるんだってさ。この二つの種族の争いはここから始まってて…全ては妖精王とレパード族の子供から始まったんだってさ」 十真の言葉を聞き、寝そべっていたシンザスがガバッと身体を起こす。 シンザス:「ぇ゙…その妖精王って今の…?」 シンザスの言葉に十真は戸惑う。 十真:「…さぁ…どうだろう…?…ラーンの話じゃ…かなり昔の出来事みたいな雰囲気だったような…」 シンザス:「ちょっ…そこ…1番重要じゃねーのかよっ」 シンザスがややヒステリックになる。ゼファルが慌てて彼の口を覆うように、両手で包み込む。 シンザス:「ぅわっ…おいっっ」 ゼファル:「シンザス、しぃー」 ゼファルはそういうと、シンザスを解放する。シンザスは彼を睨んだが、ティニーがシンザスの腕を掴んでニコッと微笑むと…シンザスはしゅん…と照れたのか大人しくなる。 クレイフィンはぴくぴくと片耳が動く。 クレイフィン:「トオマ、話に出て来た…ラーンというのは誰だ?、あとレパード族の子供の詳しい情報はないのか?」 十真:「あ…ラーンっていうのは情報をくれた双子の弟で…姉はライズって言って…レパード族の子供のほうは一一話を聞けた事に舞い上がっちゃってて…詳しく聞くのを忘れてた」 十真はそういって苦笑する。
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