第四章

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ゼファルは表情をキリリと引き締めると、十真(とおま)に聞いてみる。 ゼファル:「ねぇ、トオマ?」 十真:「ん?」 十真はゼファルを見る。 ゼファルは頭を掻きながら申し訳なさそうに口を開く。 ゼファル:「さっきの話に出て来た、革新派についてもう一度だけ話してくれないかなー?…実は俺、こっちの世界に来て、直ぐに同族と離れたから…詳しく知らなくって…」 十真はニコッと微笑むと、革新派の事を話し始めた。 十真:「うん、良いよ。えっと…革新派はレパード族の子供を手に入れようとして…保守派を躍起になって対戦を申し込んだんだ。そして、二つの種族の関係が泥沼化したって話。…大まかに言ってこんな感じだけど…」 十真はゼファルを見た。 クレイフィン:「一一やっぱり…トオマの話には納得がいかない」 十真:「…え?」 クレイフィンを一斉に十真達が見る。 クレイフィン:「ゼファルも私と同じように…何か『違和感』をトオマの話に感じていた」 十真:「違和感?」 ゼファルはクレイフィンの言葉に頷く。 ゼファル:「俺のは『ただの』違和感で、クレイフィンの違和感は俺と違って『確かな』ものなんだけどね」 シンザス:「っち、ただのってどういう意味だよ?」 シンザスは少しだけピリピリとした雰囲気を醸し出しながら、ゼファルに詰め寄る。 詰め寄られたゼファルは「まぁまぁ…」と彼を落ち着かせる。 そんなやり取りを見ていたクレイフィンがゆっくりと口を開く。 クレイフィン:「一一トオマが聞いて来た話の中には一一『間違った情報』が含まれているんだ」 全員:「!?」 クレイフィンの言葉に一斉に彼女へ視線が向けられる。 十真はその言葉に驚きながらうろたえてしまう。 十真:「ちょっと待ってくれよ…ラーンの話…出まかせだって言うのか!?」 クレイフィンは十真を見てゆっくりと頭を振る。 クレイフィン:「いや、そうは言っていない。『間違った情報が含まれている』と言っただけだ。一一私は、立場的にトオマが言った保守派についてこの中で誰よりも理解しているはずだ」 クレイフィンの言葉に十真は眉を眉間に寄せる。
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