第四章

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十真:「どういう意味だよ?…クレイフィンは前々から何か…俺…いや…俺達に隠していないか?一一俺が戦って初めて魔法を発動した対戦の後だったかな?…クレイフィンがポアスティング族に囲まれて問い詰められているのを俺は見たんだ…なんであの時…あんたは一一」 十真(とおま)の言葉にゼファルは慌てた。 それはその場にたまたま居合わせたザイル族の男がクレイフィンの同族のラスカが問い詰められているのを見て、おさめた事件だった。 それを要因として、ラスカがザイル族の女と戦うはめになった事件の前座的な出来事だった。 それをたまたまこっそりと十真とフォルメント、そしてゼファルで見ていた事を自分から明かすような形になったことに、ゼファルは慌てた。 ゼファル:「と、トオマ…っ」 ゼファルは十真の片腕を掴む。腕を掴まれた十真は、自分が口にした言葉に慌てながら手で塞ぐが…時は既に遅かった。 クレイフィンはその様子を見て「はぁ…」と呆れ返っていた。 その時、シンザスとティニーは仲良く眠らない溜まり場(レスト・センター)の上にある妖精だけが集う『BAR(バー)』でデートをしていたので、全く、話が見えてこなかった。 シンザス:「…何だよ、それ?」 ティニー:「…どういう事よ、クレイ…?」 クレイフィン:「一一あの場にいたのはトオマだけかと思っていたが…お前もいたのか」 クレイフィンはゼファルを見る。 クレイフィンは持ち前の聴力で十真とゼファルの足跡、フォルメントとシンザスとティニーの羽音の特徴を記憶していた。 ゼファルは対戦で1勝もしたことがなかったが、ウルフハウンド族だった為、気配を消すのは自然と身についた能力だったので、クレイフィンに気付かれていなかった。 クレイフィンはゼファルの様子を見て…全てを理解する。 ゼファルは申し訳なさそうに頭を俯きかげんに掻く。 ゼファル:「ごめんね…クレイ…妖精を連れずに同族と会話してた君がなんか心配だったんた。基本的に君は同族といたりしないから…」 クレイフィン:「一一気にするな。私とてずっと隠し通せるとは思ってなかったよ。いや…隠そうともしてはいなかったんだがな」 クレイフィンは誰も責めることはしなかった。
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