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すると十真は身体をガバッと起こすと、フォルメントの身体を両手で掴みあげて間近に持ってくる。
フォルメント:「きゃっ…ササキノトーマ!?」
フォルメントは小さな悲鳴をあげて手の中でもがく。
十真:「あ…ごめん…フォルメント…。そうそう…俺の事は十真で良い。『トーマ』って伸ばすのは嫌いだからさ、よろしく」
フォルメントは間近にある十真の顔を見て戸惑う。
フォルメント:「わ、分かったわよ…トオマ。で…私を掴みあげるなんて良い度胸してるじゃない」
十真:「あ…ごめん…つい、勢いで…」
十真はフォルメントをじっと見つめる。フォルメントは思わず顔を赤く染める。
フォルメント:「な、何よ…」
十真:「いや…妖精を見るのも触るのも初めてだから一一なんか興奮してきた」
フォルメント:「はぁっ!?」
フォルメントの表情が強張る。十真は興味深く彼女の全身をなめ回すように観察する。
< ふるふる >
次第にフォルメントは恥ずかしさと怒りに震える。
十真:「…どうした?」
十真は手の中で感じる震えに目を丸くする。フォルメントの顔を覗き込んだ瞬間、枕投げで枕が顔面に当たったような衝撃を顔面に感じる。
十真:「ぅばっ」
< ぱっ >
十真は両手を放して顔を押さえる。フォルメントは風の魔法を彼の顔面にお見舞いをした。
フォルメント:「フン…だ。あたしに気安く触った罰よっ」
十真:「ぅわー…びっくりしたー…今のは??」
フォルメント:「魔法よ、魔法」
フォルメントはそれからこの世界の事を十真に教え込む。十真はもう日本という世界に帰れないと聞かされてショックを隠しきれないでいた。
その個室は召喚された種族に妖精との絆を深めるために一人ずつ与えられたものだった。
十真:「この部屋が俺のかー…見事に何もないなー」
十真はゴロンと仰向けになる。彼の隣にはフォルメントがちょこんと座っている。
フォルメント:「…そうでもないわよ?、この部屋の他に入口の近くにある扉の側面にある扉は浴室よ。他の家具なんかは…トオマが脳裏に浮かべてくれるだけで…パパパッと私が作り替えるわよ?」
フォルメントはニコッと笑う。
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