第二章

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十真(とおま)はフォルメントの背中に手を回すと、女の子が人形を掴むようにそっと腰からお尻の辺りを掬(すく)い上げる。 フォルメント:「!!!」 フォルメントはハッとして十真を見上げる。 十真:「さ、寝ようか」 十真はニコニコしながら、自分のベッドに連れていく。彼はフォルメントを自分の枕の傍で眠らせようとしていたが、彼女は慌てて手の中から飛び立つ。 < ぱたぱた > 十真:「…フォルメント?」 フォルメント:「な、何するのよっ」 十真:「何するって…一緒に寝ようかと思って」 フォルメントの顔は真っ赤になる。 フォルメント:「ななな…何を…」 フォルメントはブワッと十真から素早く離れると、壁にピタッと張り付く。 十真は彼女の反応にニタリと笑う。 十真:「何々…まさかフォルメント…俺を意識しちゃってるのかなぁ?」 フォルメント:「!!!、ち…違うわよっ」 フォルメントは真っ赤になったまま近くにあったタンスの上で両腕を枕にし、俯(うふむ)せになって丸くなる。 十真:「…フォルメント…そこで眠るのか?」 フォルメントは両腕から顔をちょこんと上げて十真を見る。 フォルメント:「?」 フォルメントにとってこうやってパートナーと離れて眠るのはいつものことだった。 十真はため息を吐きながら近くにあったクッションを掴むと、フォルメントに近寄る。コクン…コクンと揺れる彼女を起こさないように抱えるとそっ…と下にクッションを敷(し)く。 十真:「(一一おやすみ…フォルメント)」 十真は電気を消してベッドに潜り込む。彼は天井を見上げながら…もう戻る事が出来ない向こうの世界の友人達を思い浮かべる。 十真:「(俺は…俺なりに頑張ってみせる。妖精王…今はまだまだ届かない存在だけど…高みを目指してみるか)」 十真はスゥ…と眠りにつく。
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