第二章

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< 翌朝 > 十真:「ん…」 十真(とおま)は見慣れた天井を見てぼーっとする。 十真:「一一夢か」 そう呟いた瞬間、自分の視界に小さな頭がヌッと顔を覗き込む。 フォルメント:「…何か夢を見たの?」 十真:「ぅわっ…フォ、ルメント!?」 十真は瞬(まばた)きをする。ドッドッドッド…と胸が早く鳴る。 フォルメント:「???」 フォルメントは不思議そうに十真を見ていた。 十真:「夢…じゃねーんだな」 十真は左手で顔を覆うと、余った右手で優しくフォルメントを掬(すく)い上げる。 フォルメント:「きゃ…また!?」 フォルメントはポスン…と十真の手の平の上に座る。 フォルメント:「…トオマ?」 フォルメントは十真を見上げる。彼女は彼の『動揺・不安・戸惑い』でグルグルと渦巻く心内を感じ取る。 十真:「(あー…本当に…俺の部屋だと思った…。駄目だな俺は…)」 十真は昨夜、『高みを目指す』といいながらも…どこかコレは夢だと思い込んでしまっていた自分に気付く。 < くぃっ… > その時、右腕の裾がくぃくぃっと引っ張られる。 十真:「…?」 フォルメント:「トオマ…大丈夫?」 フォルメントが心配そうに十真を見上げていた。その表情を見た十真はフッ…と表情を和らげて…フォルメントの頭を左手の指で優しく撫でる。 フォルメント:「あっ…もう…頭…髪がぐちゃぐちゃに…」 フォルメントは赤くなりながら、十真の右手を両手で退かす。彼女は手櫛(てぐし)で髪を整える。 十真:「…ありがとうな、フォルメント」 十真は穏やかな表情をフォルメントに向ける。すると、フォルメントはチラッチラッと十真を盗み見てフンッ…と顔を背(そむ)ける。 < …………………… > < グゥ… > 十真:「ぁ」 しばらくして、十真のお腹が栄養摂取をするように音が鳴る。彼はフォルメントを見る。 十真:「フォルメント~、お腹減った。一一この部屋みたいにさ、食べ物を思い浮かべるとボカンて出たりするのか?」 フォルメントはゆっくりと頭を左右に振る。
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