プロローグ

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< 玉座の間 > 玉座の間は大理石が敷き詰められている大きくて広く、そしてひんやりとした場所。 その場所にあるのは、一人用の大きな椅子と椅子の前にある幅広くて浅いため池があるだけの物寂しい部屋だった。そしてそこにはシン…と静まるその空間の中には二人の男が向き合って立っていた。 一人は小さく微笑み、一人は無表情で立っている。 微笑む男の額からは大量の汗が吹き出している。何故なら、彼は腹部に大きな風穴が開き、身体中は傷だらけだったからだ。 微笑む男:「流石だな一一×××」 微笑む男は無表情の男に笑みを絶やさずに名前を口にし、声音は優しい。 微笑む男は痛いのに、それすらも表情にしないのは彼なりの誇りだった。 無表情の男:「………」 無表情の男は無言だった。彼は悔しみしか抱かなかった。いや、抱けなかった。唇を噛み締めながら、彼は微笑む男に言い放つ。 無表情の男:「…何故だ…?、何故貴方は無抵抗に一一俺の魔法を受ける?、貴方なら俺の魔法を避けるのは簡単だったはずだ」 微笑む男:「…フフフ…それはね一一私の長年の望みだったからかもしれないね。…君になら私の後を継げるという確信があるからだよ」 無表情の男:「………。長年の望み?、後を継げる確信?…何だよ、それは」 無表情の男は呆れた様子で言う。 微笑む男:「フフフ…グフッ」 微笑む男は笑うと、血を吐く。彼は自分が吐いた血を見てため息を吐く。 微笑む男:「あぁ…これが痛み…死ぬ感覚…」 微笑む男はその全てを思い出す。長年、忘れ去られていたその感覚に懐かしむようにして微笑む。 無表情の男:「×××、貴方の時代はもう終わりだ。このあとは全て俺に任せろ」 微笑む男:「…そうだな」 微笑む男はそういって、膝を折ってゆっくりと仰向けになる。 微笑む男:「この玉座の間は君のモノだ。一一この孤独、君は一一どう生かすのか…見てみたかったな…。私が持て余していたモノを…君はどう一一」 微笑む男は無表情の男を見た。 無表情の男:「…貴方ほどの方が持て余すモノ?、アハハ…俺が簡単に熟してみせるさ」 微笑む男は既に無表情の男の顔は霞んで見えなくなっていたが、その言葉を聞いてニッコリと無表情の男に微笑む。
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