第三章

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階級なし達:「ぅわあああああっ」 十真:「うおっ」 十真(とおま)は目を丸くする。その土人形はまるで、動くものに反応するように長い腕を振り回す。長い腕を振ると、砂の粒子がバサッと飛び散る。それを避けきれなかった者達は落下していく。 < ボスッボスッ > 次々と砂漠の上に落下していく階級なし達は赤いボードを抱えながら妖精と共にその場から避難する。 十真:「!?、うぉっ…ヤバイってこれは!」 目前の下にいた『初級者』に向かって土人形が腕を振り下ろして来た。 初級者:「チッ…」 舌打ちをすると、彼は自分の妖精に向かって叫ぶ。 初級者:「『吹き流し(ストレイマー)』!」 唱えると、妖精の身体が光り輝くと、彼は右手を土人形の腕に向ける。すると、風が発生すると腕を吹き飛ばす。 初級者達:「!!!」 初級者達は『風属性』の魔法を発動させた彼を見て、表情が変わる。 初級者(人):「『階級なし』、口と鼻を塞ぐんだーっ」 『初級者』の人間が上空で散り散りになった『階級なし』達に叫ぶ。 十真:「?!」 十真は反射的に近くにいたフォルメントの腰をわしづかみにすると、左胸ポケットに押し込む。 フォルメント:「わ…きゃっ」 そして十真は赤いボードの上でうずくまるようにして、耳を押さえながら口をつぐんで目を閉じる。 その次の瞬間、『吹き流し(ストレイマー)』を受けた土人形の腕がバシュッ…とバラバラに弾け飛び、砂嵐が発生する。 階級なし達:「うわああああっ」 初級者達はソレに慣れていたのか、両腕で砂を庇いながらバランスを保つ。しかし、階級なし達は風で舞った砂の粒子が容赦なく弾き飛ばしながら落下していく。 フォルメント:「トオマっ、土人形から目を離しちゃダメよ!」 十真:「そんな…この状況で…ゴホッ」 土人形の散り散りに散らばった腕は、簡単に修復されると再び動くものに反応する。 < ゴバァッ…ゴバァッ > 腕を激しく振り回す土人形。 初級者達が発動させた魔法はあまりにも効果がない。砂嵐は徐々におさまっているが、足元には階級なしや初級者達が入り混ざって砂漠に埋もれていた。
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