第三章

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初級者(ザ)②:「バカヤロウ、逃げろ!」 別の初級者の『ザイル族』が魔法を発動した彼に叫ぶ。 初級者(ザ):「ウソだろ…おい…」 その『ザイル族』の尻尾を妖精が慌てて引っ張っている。 妖精:「逃げないと…押し潰されちゃうよっ」 その『ザイル族』の赤いボードは少し離れた場所に落ちている。動かなければ土人形の標的にされない。 初級者(ザ):「うるさいっ!、お前は黙ってろ」 そういうと尻尾に張り付いていた妖精を振り飛ばす。 妖精:「わわっ」 ポスッ…と妖精は砂漠に尻餅をつく。 十真:「あ…あいつ…」 十真(とおま)の眉間に皺が寄る。彼の左胸ポケットから出て来たフォルメントは土人形を見つめる。 フォルメント:「…水によって一時的に動きが止められたみたいね一一でもあれぐらいの水量じゃ…」 土人形は胸を修復させると、周囲の砂を身体に纏(まと)わせて強化させる。身体は本能的に身を守る為に魔法を受ける度に強度が増す。 初級者(ザ):「ち…今回はオレの負けかー…」 土人形は妖精の羽音に反応し、彼の妖精に向かって片腕を振り下ろす。 妖精:「!!!、しまっ一一」 妖精は飛び上がろうとした時、ひょいっと身体が浮く。その妖精の身体を片手で掴み上げたその初級者の『ザイル族』がドタドタドタ…と全速力で走る。 < バシン…バシン… > と土人形は長い腕を砂地に叩きつけていく。 初級者(ザ):「うぉっ…とっ」 上空の彼等はそんな初級者の『ザイル族』を見下ろすだけ。どうにかしようにも、効果的な魔法をパートナーが持ち合わせてはおらず、正確な魔法を放てない。下手をすればあの二人に辺りかねない。 十真はそわそわしていると、上空から声が落ちてくる。 ?:「一一情けない…この程度の土人形に苦戦か…。所詮…階級なしと初級者程度か…」 その声に引き寄せられるように十真の近くにいた彼等はそこを振り向く。 そこにいたのは『槍を片手に持つポアスティング族』の女。顔は逆光になっていたために見えなかったが、初級者の誰かが呟く。
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