第三章

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フォルメント:「この眠らない溜まり場(レスト・センター)はあの広場以外にもトオマのように召喚された種族との交流をするだけの場所じゃないの。『階級なし』の人にはまだちょっと早い話かもしれないけど一一これからはよく使うようになるわ。トオマがこれから行こうとしている場所は…対戦相手の登録所よ。対戦相手を見つける場所もあるってことよ」 十真:「対戦…登録所?」 十真(とおま)は真っ直ぐに続く通路を見つめる。眠らない溜まり場(レスト・センター)に行った時はただ真っ直ぐに行ったが、そんな場所は見なかった。 十真の心情を察したのか、フォルメントは「クスクス」と笑う。それに気付いた十真は少し頬を膨らます。 十真:「…何だよー」 フォルメント:「あら…ごめんなさい。…トオマってば純粋なのね」 十真:「…はぁ?…純粋?」 フォルメントは頷く。 フォルメント:「一一『見えるものだけを信じちゃダメ』よ」 十真:「…見えるものだけを…」 十真は通路を見つめる。少しして首を傾げる。 十真:「どういう事だ?」 フォルメントは微笑む。 フォルメント:「…トオマ…貴方はあの眠らない溜まり場(レスト・センター)に行った時…何を考えてた?」 十真:「…え?、そりゃあーもちろん…『眠らない溜まり場(レスト・センター)』を一一あっ…成る程…」 十真はニンマリと笑う。 此処は魔法が生きる異世界…すると十真はこの通路は普通の通路だと考えにくいという考えに到達する。 この通路は行き手の心を読む通路。 十真:「成る程…そういう事かー」 フォルメント:「…分かった?、だから行きも帰りも迷わずに貴方は部屋に帰れたのよ?一一目的地を心に宿していたから」 十真はフォルメントを見る。 十真:「(…目的地…無心で歩いてたら…どうなるんだろ…)」 十真がそんなことを思うと、フォルメントは遠い眼差しをどこかに向けていた。
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