第三章

17/33

257人が本棚に入れています
本棚に追加
/1380ページ
十真(とおま)は頭の中で「登録所…登録所」と念じながら歩いていた。しばらくすると目の前に今まで見たことが無い『四ツ辻(よつつじ)』が現れた。 四ツ辻は十字路。 十真:「えっ…前に来た時…こんな通路…なかったよな!?」 十真がキョロキョロとしている間にも、彼から見て四ツ辻を左右に行き交う彼等がいた。 フォルメント:「フフフ…この道をどっちに行っても『終わりなき登録所(アンクルージング・エンター)』に行けるわよ♪」 十真:「へー…んーじゃ、右に」 十真はすたすたと歩いていく。そこから少しして開けた空間に出る。 < 終わりなき登録所(アンクルージング・エンター) > そこは通路と同じく、先が見えないくらい長く続いた壁が横一列に並び、彼等が受付のような窓口に立って書き込んでいる光景が広がっていた。 十真:「…登録所ってなんか俺の世界を彷彿(ほうふつ)とさせるようなところだなー」 フォルメント:「…そうなの?…あ、トオマ…あれに乗って」 フォルメントは左胸のポケットから飛び立つと、少し離れた所に、『赤いボード』が置いてあった。それには黒い線が引いてなかった。 十真:「これ…俺のじゃないんだけど…」 フォルメントはニコニコしているだけで何も言わない。十真は諦めて跨ぐと、赤いボードはフワリと浮き上がる。 十真:「わっ…何だよこれっ…勝手に…」 赤いボードは空いた窓口へ案内するだけの道具。戸惑いながらも、十真は受付の前にいた。 受付にはアーチ状の窓口があり、手前には筆記用具と用紙が置いてあった。窓口の中には妖精がちょこんと座っていた。 窓口の中は本棚が左右にあり、奥にはポストのような投函口(とうかんぐち)があった。その投函口の中は緑の空間が広がっているのが見えた。 十真はぼーっと中を見ていると、フォルメントが受付の妖精に聞く。 フォルメント:「…昨日、受付しておいた明後日の対戦を明日に変更出来たりするのかしら?」 受付:「ササキノ・トオマ様の対戦の変更ですね。調べてみますのでお待ちください」 受付妖精はそういうと、本棚の本を開いて直ぐに戻ってくる。 受付:「お待たせいたしました。一一今回で2回目の対戦ですね。階級なしの登録変更は可能ですが、中級からは不可能ですので気を付けてください。…変更なさる事項をその用紙に記入してください」 十真:「…え…用紙?」 十真は事務的な流れに呆気にとられていると、フォルメントが彼を見る。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加