第三章

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シンザス:「…なんだよ…怒ってんのか?」 フォルメント:「…シンザス、トオマを嫌いな呼び方で呼んじゃったからよ」 シンザスは「ふーん…」というと、何事もなかったように十真(とおま)の腕を掴むと、自分達の席に案内しようとする。 それを見たフォルメントは反対側の腕を掴む。 フォルメント:「ちょっと…あたしのパートナーをどこに連れていく気よっ」 シンザス:「んだよー、減るもんじゃないから…キーキー言うなよ…なぁ?」 シンザスは十真を見上げる。 十真は苦笑し、フォルメントのほうを見る。 十真:「フォルメント、今回は俺達の負けだなー。…あ、そうだ…今日はえーっと…クレイフィンもいるのか?」 シンザスはキョトンとしている。 シンザス:「オレとティニーはいつも一緒だぜ?…だからクレイもゼファルといつも一緒だ…それがどーかした?」 十真はニコッと笑う。 十真:「んー、聞きたい事がちょっとあってな♪」 フォルメント:「(…トオマ…)」 フォルメントは十真の笑顔を見て自然とズキンと胸が痛む。 シンザス:「………」 シンザスは十真のほうを見ながら、フォルメントを見ていた。彼は何かを知っているような眼差しで彼女を射抜いていた。 < テーブル > そこにはシンザスの相棒のゼファル、ティニーとクレイフィンがいた。 ゼファル:「シンザスぅっ…勝手に俺を置いていくなよーっ」 ゼファルは身体をフルフルと震わせながら、涙ぐみながらシンザスに言う。 それを見たシンザスは頭を抱える。 シンザス:「ったく…なんて顔をしてんだよ。一一ティニーやクレイが傍にいるだろ」 シンザスはため息を吐く。 クレイフィンは十真とフォルメントを見て小さく微笑む。 クレイフィン:「トオマ…だったか?…元気そうだな」 ティニー:「ごめんなさいっ…シンザス…勝手に連れて来たら駄目じゃないっ」 ティニーがシンザスを怒ると、シンザスがうなだれる。 シンザス:「だってよー…オレがまた話したかったんだもん…」 ティニーはシンザスのもとにいくと寄り添って微笑む。その表情を見た彼は真っ赤になって固まる。 クレイフィン:「…トオマ、フォルメント…空いている席に座らないのか?ティニーやシンザスは恋仲だからあまり気にしないでくれ」 十真とティニーは頷くしかなかった。
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