第三章

20/33

257人が本棚に入れています
本棚に追加
/1380ページ
十真(とおま)とフォルメントはゼファル達と共に食事をすることになった。 食事をしながら十真はクレイフィンに聞く。クレイフィンは丁寧にゆっくりと食事を食べていた。 十真:「そういえば…今日…俺の初めての対戦だったんだけど…そこにクレイフィン…いなかったか?」 クレイフィンはふっと…十真に顔を向け、彼の言葉にシンザスが首を傾げる。 シンザス:「クレイが一一?…それ、別の『ポアスティング族』じゃないのかー?…あの一族はそうそう見分けがつかな一一むぐっ」 シンザスの口をゼファルが手慣れたように片手で塞ぐ。 ゼファル:「シンザス、今日はクレイの監督の日だよ」 シンザス:「プハッ…監督?…でもあれって『中級者』だけじゃ…」 ティニー:「もぅ…フィンは『中級』になったのに…忘れちゃったの?」 シンザスは「そうだったかなー?」と呟きながら頭を掻く。 クレイフィン:「忘れても仕方ない。私は元々、中級者になる予定はなかったからな。…これからは気まぐれに監督をするかもしれない、よろしくな…トオマ」 クレイフィンは相変わらず、男らしい口調でそうそうと小さく微笑む。 シンザス:「中級者の監督が付くってことは…トオマは一一階級なしか初級か?」 十真:「階級なしだよ。…クレイフィンが中級者で…ってことはゼファルも中級者なのか?」 十真がゼファルを見る。 ゼファル:「…まさか。俺は初級だよ、もちろん…ね」 シンザス:「こいつは対戦中はやる男なんだけど…性格がこれだから…なかなか対戦がめぐって来ないから階級がそう…あがらないんだよ。で、クレイがこいつに合わせてくれるから…階級を上がるのが遅くなっちまってて…」 十真/フォルメント:「………」 十真とフォルメントがゼファルを見る。ゼファルはシンザスが言った言葉を聞いて俯きがちにフルフルと身体を震わす。 ゼファル:「だって俺…戦いは苦手なんだもん…あんな恐ろしい戦いは…。でも…クレイにはいつも俺のことは良いからって言ってるのに…」 ゼファルはチラリとクレイフィンを見るが、シンザスは弱音を吐く彼の頭をパシッと叩く。 シンザス:「こら!、オレの相棒がそんな女々っちくて弱々しいことを言うなよな…男だろ?…ったく…」 シンザスが呆れたようにため息を吐く。 クレイフィン:「シンザス、ゼファルはゼファルなりに頑張っているようだからあまりそう突くな」 ティニーはそんなやり取りをするシンザス、ゼファル、クレイフィンに温かな眼差しを向ける。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加