第三章

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フォルメント:「…あたしには貴方の気持ちを口にする言葉は不要よ。一一トオマ、貴方はあたしだけを信じてれば大丈夫…」 十真(とおま)は目を丸くしたものの、フォルメントが瞳に宿す温かな光りが彼の気持ちを軽くする。 ニコッ…と十真が笑顔を浮かべると、右手でフォルメントの頭を撫でる。 十真:「ありがとう…フォルメント。俺、勝てるか分からない…でも…きちんと魔法が発動出来るように頑張るよ」 フォルメントは少しくしゃくしゃになった髪を手櫛で直すと、十真の良い表情に恥ずかしそうな笑顔を返す。 フォルメント:「…頑張ってね…あたしは応援しかできないけど…」 「ありがとう」と再び口にする十真に、フォルメントは彼の不安を拭えたようで安堵する。 < 外 > しばらくしてから十真とフォルメントは身支度を整えると直ぐに部屋を後にする。 < ひゅう… > 砂漠地帯には昨日と同じように赤いボードに乗った種族と妖精達が空中に漂っていた。 十真:「…フォルメント…昨日は初級者があの土人形を呼び起こしたけど…今回はどうするんだ?…俺達って階級なしだろ?…出来る誰かがしないといけないのかなー」 フォルメントは十真の真横にいた。彼女は彼に微笑む。 フォルメント:「心配は無用よ。…まぁ…見ててちょうだい」 フォルメントがそういうと、妖精達がパートナーから離れると、一箇所に昨日の初級者達のように集まる。彼等は右手を斜め下に突き出すと、口を揃えて唱える。 フォルメント達:「古しえの契約において、今ここにその中からを示せ…『土人形のお遊戯(カプティブ・シール)』」 息の合った動きと発動した光りと共に、地面が振動する。 十真:「(…あれ?)」 十真はその振動に小首を傾げる。何故なら…昨日よりも地響きが弱々しい気がする。 土人形はやがて、土柱をあげて地中から出て来たが… 十真:「…ちっさっ」 十真は思わず呟く。 一度は目にしたことがある彼等は心の中や、口々に呟く。その大きさは昨日の土人形と比べて三分の一ほどだった。 妖精達はパートナーの元に飛んでいき、『妖精が複数の力を持ってしても、この程度にしかならないということを告げる』。それだけ召喚された種族の大切だというのを目の当たりにさせられた。
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