第三章

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衝撃波は少し離れていた十真(とおま)とフォルメントがいた場所まで届く。 < ブワァッ… > 十真:「ぅ…わっ…」 フォルメント:「トオマっ!」 所詮、彼等は『階級なし』達。突発的に起きた衝撃波に、身体が対応出来ずにボードに乗っていたバランスを保てずに崩す。 中には落下する者、しない者と分かれたが…十真はフォルメントの気転を利かせて発動させた風魔法で彼を支える。 フォルメント:「トオマっ…大丈夫!?」 十真は瞬きながらパクパクと口を動かす。 十真:「び、びっくりしたぁー…フォルメント、ありがとう…今のは…」 フォルメントは十真の問いに答えずにあの女の子を見る。 < パチパチ…パチパチ > 女の子の周囲には小さな光りがパチパチと発生している。それは空中にある塵(ちり)と塵が擦れ合う音。 女の子:「………」 女の子は虚(うつ)ろな眼差しで、土人形を見下ろしている。 < パチッパチッ… > 塵はやがて火花を散らし始め、女の子の周囲を炎が踊る。 < ブワッ…ブワッ… > 踊る炎は女の子を守るように周囲を覆っていくと、彼女がゆっくりと両腕を広げる。 すると炎は彼女の意思に従うように、ガッパリと縦に開く。 女の子:「…『集中豪火(フレイマス)』…全てを焼き払え…」 そう口にすると、彼女を守っていた炎が無数の矢を生み出し、土人形に攻撃を始める。 小さな土人形の身体は無数の矢を受け、炎に包まれるがダメージを受けたようには見えなかった。 十真:「うわっ…身体に火が点いてるのに…平気だなんて…」 フォルメントは冷静に分析する。 フォルメント:「…ちゃんとした魔法でも所詮は階級なしの魔法の威力ね…」 魔法を放った女の子はやがてふらりと身体が揺れ動くと、前のめりに倒れ落ちる。 十真:「あっ!!」 十真は驚き、慌てたが…女の子は近くにいたザイル族が片腕を掴んで助ける。 ザイル族①:「一一チッ…しょうーがねぇーな…手間取らせやがって」 悪態をつくザイル族①だったが、女の子の呼吸を確認すると安堵する。彼は近くにいた人間の男に彼女をぶっきらぼうに預けると、さっさと離れる。
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