第四章

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< 夜 > < 十真の部屋 > 十真:「くぅー…くぅー」 十真(とおま)はベッドで気持ち良さそうに眠っていた。 フォルメントは十真のクッションの上にちょこんと座り、無表情に近い表情で彼を見つめていた。 フォルメント:「(…この日を…またパートナーと過ごすことになるなんて…思ってもみなかったわ)」 フォルメントは十真の前の『ミハル』こと『深晴』を思い浮かべる。 フォルメント:「(ミハル…やっぱり…新しいパートナーを持っても…貴方の事が懐かしく思うの…。…トオマのことは決して嫌いじゃないわ…やっぱり…あたしのパートナーだから…。…あぁ…)」 フォルメントのため息と共に胸がツキンと痛む。 その時、部屋の中にあった空気が…キィーンと張り詰める感覚になる。 フォルメント:「!」 その瞬間、十真や召喚された種族達が一瞬にして動きが止まる。 呼吸はあるものの、凍ったように身動きすらとらなくなる。 フォルメント:「…集まりの時間…か」 そう呟いた瞬間、フォルメントの身体がポォ…と淡く光り輝く。 < キィ… > するとゆっくりと出入口が開き、クッションを飛び立つ。そしてその中に入っていくと扉が閉まる。 < 眠らない溜まり場(レスト・センター) > いつもなら召喚された種族と妖精達で溢れたその場所は、妖精達で敷き詰められていた。 召喚された種族が座る椅子に妖精が座ることはなく、彼等は机の上で座ったり立ったりしていた。 フォルメントが姿を現した場所はその出入口。彼女が姿を現した瞬間、眠らない溜まり場(レスト・センター)にいた空気が変わる。 妖精(♀)①:「…来たわ…噂は本当だったのね」 妖精(♂)①:「…同族の恥さらしが…」 妖精(♀)②:「一一私達の最高の目的を逃がした残念な子が来たわ」 妖精(♂)②:「…またパートナーを取ってたんだな」 あちこちでフォルメントの噂をする。彼女は無表情で出入口の側に佇(たたず)んでいた。 ?:「一一チッ」 それに気付いたある妖精(♂)が舌打ちをする。 ?:「おい、こんなところで何をやってんだよ」 フォルメント:「!」 フォルメントは声を掛けて来た人物を見て目を丸くする。
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