第五章

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< 二日後 > < 昼前 > < クレイフィンの部屋 > クレイフィン:「…ティニー、そろそろ時間だ」 クレイフィンは出入口の前でティニーに振り向きながら言った。 ティニー:「うん…」 ティニーはどこと無く浮かない表情で微笑むと頷く。 それを見たクレイフィンは小さなため息を吐くと、ティニーのほうに腕を伸ばす。 ティニーは自然とその腕の指先に触れる。 ティニー:「…クレイ?」 ティニーはクレイフィンを見つめた。見つめられた彼女の瞳は真っ直ぐにティニーを見つめていた。 クレイフィン:「一一何も心配はいらない。ゼファルは強い…シンザスは決して怪我を負ったりはしない」 ティニー:「!、クレイ…」 ティニーは目を少し丸くすると、目に涙ぐみながら小さく何度も頷く。 クレイフィン:「…クス…行こうか、ティニー。トオマやフォルメントが待っている頃だろうからな」 クレイフィンとティニーは十真やフォルメントを迎えに行く役割を担っていた。 クレイフィンは出入口の扉の前に立つと、コンコンと叩く。少し間を空けて扉を手前に開く。 < きぃ… > 光の壁が目の前にあり、クレイフィンは戸惑わずに上半身をその中に突っ込む。 < 十真の部屋 > < コンコン…きぃ… > 扉が勝手に開くとクレイフィンの上半身がヌッ…と出て来たのを見た十真は硬直してしまっている。 十真は片付けをしていたのか、服を手に持ったままだった。 フォルメントはクレイフィンを見ると微笑む。 フォルメント:「あ、クレイ…こんにちは」 クレイフィン:「ああ…迎えに来た。用意が終わったら…通路に来い」 フォルメント:「ええ、ありがとう」 クレイフィンはそれだけを言い残して上半身を光の壁から抜く。 クレイフィンが消えた瞬間、十真はぱくぱくと口を動かす。 十真:「な…なんで!?、あの光の壁って…通路に繋がってたんじゃないのか?!」 フォルメント:「あれ?、言ってなかったかしら??…通路の他にも召喚された種族の部屋に行く時にも使えるのよ?」 フォルメントは十真に「仲間との行き来の仕方」を伝授する。それは行きたい人物を思い浮かべるだけで可能だということを。 それを可能にするにはそれなりの信頼がないと行けなかった。
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