第五章

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ノンス:「(…そろそろか?)」 ノンスはゼファルの身体に張り付く体毛を見て、そう呟く。彼はチラリと相棒のレパード族を見る。 レパード族は楽しそうに『放投流激掌(マニューブ・カレント)』をまた一つ…二つと頃合いを見計らって放ち続けていた。 ノンス:「(相棒)」 レパート族①:「(!、なに??)」 レパード族はノンスに視線だけ向ける。彼はノンスの表情を見て考えを見抜く。 レパート族①:「(キキキッ、分かったよー♪)」 レパード族はノンスから『その時』が来たの察すると、左手を突き出したまま…右手を腰の真横に持ってくると、意識を集中させる。 < キュイッ > シンザス:「!」 シンザスは先程から放たれ続けている焔の球とは明らかに違う魔力の波動を感じ取る。 シンザス:「ゼファル」 シンザスが彼の名前を口にすると、ゼファルは焔の球を避けながら敵を観察する。 ゼファル:「………」 無言で確認を終えると、ババッとその場から後ろに勢いよく後退する。 少し遅れて焔の球がゼファルの後を追い掛けて来る。 レパート/ノンス:「!」 最小限の動きしかしなかったゼファルが…突然の後退を見せた為にノンス達が彼を目で追う。 ゼファル:「…さて…今度は俺の攻撃だ。ウルフハウンドとレパードか…どちらが上か…知りたがっていたよな?」 ゼファルは無表情に近い表情で、焔の球が自分に襲い掛かる前に両手を真横に素早く伸ばす。 ゼファル:「風よ…」 そう呟いた瞬間、ゼファルの手の平に魔力の光りが集まる。 集まった光りが焔の球が近づいた瞬間、バシュワッと派手な音を立てながらメラメラと火力を増す。 レパート族①:「ぇ?!」 レパード族は目を丸くする。 風を吸収した焔の球はそれまでの3倍くらいの大きさになり、もうそれを避けるのは困難になりそうだった。 ゼファル:「フフフ…自分の放った魔法を利用される気分を…味わうが良い」 ゼファルはレパード族にそういうと、海に目をやる。 ゼファル:「シンザス、君が好きなようにド派手に行くよ」 シンザスは楽しそうに笑う。
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