第五章

9/16
前へ
/1380ページ
次へ
シンザス:「そうこなくっちゃなぁ♪…さぁ…お前の有能さを一一トオマとクレイに見せ付けてやれよ」 シンザスは自分達の対戦を見ているであろう十真(とおま)達のことを口にする。 そういうと、シンザスの身体が光り輝きだす。 ゴポゴポと音を立てながら、海面が渦(うず)を巻きだす。 大きくなった焔の球がゼファルとシンザスに襲い掛かって来る。 その状況の中で、上空にいたレパート族が右手を腰の辺りに持ってきたまま…。 レパート族①:「布石の魔法に踊らせられて…笑っちゃうね!、さぁ…俺の毛よ…意思に従えっ」 レパート族がそういった瞬間、足元の海面がゴポゴポとなる音と、焔の球達に挟み込まれた状況にいたゼファルの身体が突然…ビキィッと固まってしまう。 ゼファル:「!」 ゼファルは目を少しだけ大きくする。 シンザス:「(おい、どうした?)」 シンザスはゼファルを見る。 そこにはぴくぴくと小刻みに震えるゼファルがいた。シンザスは目を細めて震えが酷い部分を見ると、毛があちこちに付いていた。 ゼファル:「身体が…」 そう呟くゼファルを他所に、ノンスの身体が光り輝きだしてレパート族が魔法を放つ体勢を整える。 レパート族①:「行っくよ~♪、『放流滅雷(ブラスト・ショット)』!」 そう唱えた瞬間、レパート族の右手の手の平がパチパチと放電を始める。 それはやがて、槍のような形を形成する。 レパート族は勝利を確信したのか、ニタニタと笑う。 レパート族①:「俺の勝ち…キキキ」 レパート族が右腕を振り上げると、『放流滅雷(ブラスト・ショット)』を放つ。 『放流滅雷(ブラスト・ショット)』はゼファルに密着したレパート族の体毛に目掛けていっていた。 ゼファル:「………」 ゼファルの足元にはゴポゴポと渦を巻く海水。 そして焔の球達。 ゼファルは『放流滅雷(ブラスト・ショット)』より焔の球達が来るのが早いと分かると、右手で渦巻いていた海水を掬い上げるような動作を赤いボードに乗ったままする。 それに呼応するかのように、海面が盛り上がって海水がゼファルを飲み込んでしまう。 そこに焔の球達が急減速することもなく、突っ込んでいく。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加