第五章

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ノンス達:「!?」 焔の球達は海水に当たると、ジュワジュワジュワ…と大きな音を立てて『蒸発』する。 蒸発した焔の球と海水がその辺りに『湯気』を発生させる。 ゼファルやシンザスはもちろん、火力を上げていた為にノンスやレパート族も湯気に包み込まれる。 レパート族①:「ななな…何これっ」 ノンス:「シッ…気配を消すんだ。この湯気じゃ…向こうも司会は…」 レパート族は鼻や耳をヒクヒクと動かしながら、ゼファル達をさがす。 ウルフハウンド族やレパート族はお互いに嗅覚・聴覚といった本能が強い。 レパート族①:「(どこ?…狼のにおいはそう消せないはず)」 辺りを見回すレパート族の足元にはゴポゴポと海面が渦巻く。 ゼファル:「一一俺がどこにいるか分かるか?」 湯気の中からゼファルの声がする。 レパート族やノンスは声がする方を向きたいが、方向が分からない。 レパート族①:「何だよぅっ、これ…ノンスっ」 もう自分の感覚では見つけ出せないと分かったレパート族はプチパニックになっていた。 ゼファル:「一一俺の魔法…実はまだ途中なんだ…もちろん、受けてくれるよな?」 ゾクゥッとレパート族の背筋が凍る。 レパート族①:「ぃ…いやだ…」 辺りを見回すレパート族の真下で、海面がゆっくりと盛り上がると…先っぽがパキッと凍る。 ゼファル:「一一楽しかった…遊びは終わりにしようか…『輻輳舞踊(ビック・オン)』」 そう唱えた瞬間、レパート族の真下にあった海面がド派手な音を立てながら渦巻く。 そこに何かあると察したレパート族やノンスは斜め上に逃げる。 ゼファル:「…逃げても無駄だ…」 ゼファルがそう言った瞬間…パパパパパパパ…と海水が鋭く尖った氷となってレパート族に襲い掛かる。 その氷のスピードは焔の球とは比較にならないくらいのスピードだった。 レパート族は涙目になって死に物狂いで逃げる。 レパート族①:「(死にたくない…やだよっ…俺は…俺は一一)」 レパート族の背中に刺さる直前に、ゼファルはその氷に向かって何か指示をする。 絶望のなかで…レパート族を包み込むのは一一『ただの恐怖』…だけだった。
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