第五章

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< 眠らない溜まり場(レスト・センター) > 十真(とおま)とクレイフィンはフォルメントとティニーを連れて、ゼファルやシンザスよりも先にいつもの場所に座っていた。 やがて、ゼファルは恥ずかしそうに十真とクレイフィンに笑いかけながら…シンザスは誇らしそうに瞳を輝かせて戻ってきた。 十真:「ゼファル、お疲れ様ー!」 十真はゼファルのほうに右手の平を高く向ける。 ゼファルはニコッと笑うと、ぱんっと自分の手の平で彼の手を軽く触れるようにして叩く。 ゼファル:「ありがとう、トオマ。俺の対戦…参考になったかな?」 十真:「参考にする…というか…なんか…俺にとってはまだ…未知なる領域だったからさ…もう何がなんだかっていう状況じゃなかったんだよね」 十真は申し訳なさそうに頭を掻きながら視線を逸らす。 それを聞いたフォルメントとティニーが笑う。二人が笑ったのを見たゼファルとシンザスが不思議そうに彼女達を見る。 シンザス:「…どうしたんだよ?」 フォルメント:「一一トオマはゼファルの対戦に熱中しちゃって…貴方達が魔法をいなしながら攻撃に転じていくのを見て…もう…興奮しちゃってて…ねぇ?」 フォルメントはティニーを見る。ティニーはその時のことを思い出したのか「クスクス」と笑う。 十真:「ぅ…笑うなよー。あれは…不可抗力っていうやつで…」 十真は急になんか恥ずかしくなって来た。 クレイフィン:「…恥ずかしがることはないぞ、トオマ。対戦を見ながら感じ取る感情は後々…役に立つかもしれないからな」 クレイフィンが微笑むと十真は複雑な表情で笑う。 十真:「後々…役に立つかもって…」 それを聞いたゼファルは軽くショックを受けていた。 ゼファル:「ぅ…かもしれない…かもしれない…ブツブツ」 そんなゼファルの姿を見たシンザスが、カーッとなって彼の背中をバンバンと叩く。 シンザス:「こらーっ、一々凹むなー!…クレイの毒舌(?)は今に始まったことじゃねーだろっ」 シンザスは叩くのを止めて、ゼファルの身体を思いきり揺すり始めた。
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