第六章

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十真(とおま)とフォルメントはしばらくして、ゼファル達と眠らない溜まり場(レスト・センター)で別れた。 ゼファルの助言に「うーん…」と唸ってばかりだった十真を見たフォルメントは「今日はもう部屋に戻らない?、後はお酒が飲める大人の時間ってことでさ♪」とさりげなく彼に言った。 十真:「ん…それもそうだなー…。なぁ、ゼファル…『優しさで教える』ことと『親切で教える』ことの答えって…次にあったときにでも良いか?」 ゼファルはニコッと微笑む。 ゼファル:「うん。一一急ぎはしないから大丈夫。これは慌てて答えを出す為じゃなく、ゆっくりと見つけることで意味をなすから」 十真はゼファルとシンザス、クレイフィンとティニーと別れると部屋に戻った。 < 十真の部屋 > 十真:「………」 十真は部屋に戻ると、バフッとベッドに俯(うつぶ)せで倒れ込む。彼はゆっくりと頭を横に向けると、ゼファルの対戦と言葉の意味を考え込む。 フォルメント:「(…トオマ)」 フォルメントはゼファルが言った意味を直ぐに理解することが出来た。しかし、彼女には口を出すわけにはいかなかった。 ポスンとクッションに座り込んでどこかを見つめる十真を見つめていることしか出来なかった。 フォルメントはゆっくりと目を閉じて十真の心を覗いてみる。 フォルメント:「(一一ゼファルの対戦を見て…技術を盗もうとしているの?…いえ…これは…)」 フォルメントは十真から自分の心に流れ込んでくるのは『ふがいない自分の姿と、勇敢でカッコイイ姿のゼファルを照らし合わせている』十真の姿だった。 そこから自分に何が足らないのか、言葉の意味を理解しつつも答えを見出だそうと必死だった。 フォルメント:「………」 フォルメントはすっ…と目を開けて十真の心を読むのを止める。彼の努力を盗み見るするのが気が引けたからだ。 十真:「…フォルメント?」 フォルメント:「わっ!」 フォルメントが目を開けると、十真が自分の目の前にいて顔を覗き込んでいた。 フォルメント:「ど、どうしたのっ?」 フォルメントは戸惑いながら十真を見る。十真は彼女の頬に触れながら微笑む。
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