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十真は頬を触れるとガシガシと頭を掻きながら照れ笑いをしていた。
十真:「いやー、なんかさ…急にフォルメントの顔が見たいなって思ってさ」
フォルメント:「へ?…眠らない溜まり場(レスト・センター)でもずっと隣に居たじゃない」
十真:「そうなんだけどさ…なんか…ゼファルに言われたことを考え込んでたら…フッ…とフォルメントの顔が浮かんできてなー。こう…胸がきゅーって」
フォルメントはちょうど十真の心を読んでいた為にその『繋がり』が彼に伝わったのかもしれない。
彼女はそっぽを向きながら小さく腹を立てる。
フォルメント:「もぅ…子供みたいなことを…」
十真:「ん?…一応…俺も子供だけど?」
フォルメント:「もう…『小さな子供』って意味よ」
フォルメントが呆れ返りながら十真を見た。
再び視線が合うと、二人は笑う。
十真:「ずっと考え込んでても俺は馬鹿だから答えはきっと出てこない。一一だからさ、対戦しない?」
フォルメントは目を大きくする。
フォルメント:「対戦?…別に良いけど…もう少しだけ考えてみたらどうかしら?…今日は一日で多くのことを学びすぎよ?」
十真はゆっくりと頭を左右に振る。
十真:「一一俺は超初心者だから…場数を踏んでおきたいんだ。『階級なし』という一つのグループで何かを発見できるかもしれないからね」
十真はニコッと微笑む。フォルメントはその笑顔が希望に満ち溢れていた為、直視することが出来なかった。
真っ直ぐに向けられた自分への、『前のパートナーへの絆を断たれていないのを見透かされそう』な気がして。
十真:「…フォルメント?」
十真はフォルメントの気まずそうな表情を見逃さなかった。
心配そうな声を聞いたフォルメントはハッとして頭を左右に振る。
フォルメント:「何でもないわ。…そうね…良い枠があったら申し込みをしておくわね」
フォルメントがそういうと、十真はお礼を言って頷いた。
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