第六章

7/18
前へ
/1380ページ
次へ
< 海上 > 十真(とおま)とフォルメントが会場に着くと、既に大半の対戦のメンバー達が集まっている様子だった。 十真:「(…ん?)」 十真はその会場の違和感を感じる。前回と比べて明らかに何かが違っている。 十真:「(前の対戦と違って…なんだか集団の固まりが目立つ気がする…俺の気のせいか??)」 十真が辺りを見回していると、フォルメントの声が頭に聞こえてくる。 フォルメント:「(…流石ね、トオマ。彼等は『階級なし』の集団だから…魔法も扱えたり扱えなかったりしてるわ。それを補い合うように、仲間をさがして組んだのよ)」 十真:「(成る程…)」 十真はこの中には仲間がいなかったが、『初級・中級』といった心強い仲間が見守ってくれている。 彼は再び辺りを見回してみる。 集団で固まっている彼等ばかりではなく、十真のように個人でいるメンバーもいる。 十真:「(あの人達も俺と同じなのかな?)」 不思議そうに思っていると、フォルメントと妖精達が一カ所に集(つど)う。 右手を横に出し、上に掲げて、下に向けながら彼等は言った。 フォルメント達:「古しえの契約において、今ここにその中からを示せ…『土人形のお遊戯(カプティブ・シール)』」 ピカァッと中心部に光りが集まり、地面の砂漠が小刻みに揺れ動く。 妖精達は自分のパートナーのいるところに飛んでいく。 フォルメント:「トオマっ!」 十真:「おぅっ、行っくぜー♪」 十真は右手を拳にして左手の平にパンッとたたき付ける。 周囲にいた集団達は空いた場所に散り散りに散らばると、土人形が姿を現すのを待っていた。 やがて、ザパーンッという音と共に土人形が姿を現す。 土人形:「ゴオオオオッ」 土の中に含まれている空気が放たれ、いかにも土人形が叫んでいるように見える。 十真は魔法を放つのに躍起にならずに、とりあえず周囲の観察を始める。 彼にとって集団バトルを見るのは初めてだった。何故、そうしようと思ったのか…彼自身…分からなかった。 フォルメントは『今は』十真からの指示を待つだけでよかったので、ただ…様子を見ているだけだった。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加