第六章

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今回の対戦では、以前の対戦と違って魔法を放てる率が高まり、魔法の完成度やレパートリーが増えているようにみえた。 十真(とおま)はまだ魔法が放てなかったので少しだけ彼等を遠巻きで見つめていることしか出来ないでいた。 十真:「(…以前はレパード族のように誰かの魔法を真似ようと必死な姿をみることが出来たんだけど一一皆…技術スキルが上がってる?…ちぇっ…)」 十真は少しだけ羨ましそうに彼等を見つめていた。 フォルメント:「………」 口を尖(とが)らせてしまっている十真を見たフォルメントは思わず、微笑んでしまう。 彼女は対戦を積み重ねていくごとに、きちんと十真の成長を見逃すことはなかった。 この世界に来た時の彼は、『魔法』や『種族』に好奇心を強く抱いた少年でしかなかった。 今では自分の為、仲間の役に立ちたいという強い願いから魔法の意味をよく理解して会得しようとしていた。 フォルメント:「(今は…ゼファルの問いと、見えないブラインドで貴方は未だに魔法を…。でもあたしはちゃんと分かってるわよ…もう少し、もうすぐ…貴方は魔法が扱えるようになるって)」 フォルメントはそんな気持ちを抱いたまま、十真を見つめていた。 十真:「ん?」 その時、十真は土人形の異変に何となく気になった。 フォルメント:「…どうしたの?」 フォルメントが十真の顔を覗き込むと彼は土人形を不思議そうに眺めていたので、彼女はその視線を追う。 すると、直ぐに表情が硬くなる。 フォルメント:「一一あれは一一リバウンド?」 微かに土人形の身体は小刻みに震えているような気がする。 十真は不思議そうにフォルメントを見て笑う。 十真:「…リバウンドって何だっけ?」 フォルメント:「もう…リバウンドっていうのは…土人形の場合、『魔法で浴びすぎたことによって受けたダメージを、身体の形を意地するために吐き出す防御本能』のことを指すのよ」 十真は「あぁ!」と手を打って思い出す。
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