第六章

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十真(とおま)のように妖精より早く気付く彼等はいなかった。 彼等は自分が何をすべきなのかを理解し、行動をしていたためである。 そんな中、ウルフハウンド族、ポアスティング族、ザイル族、レパード族といった獣の本能とでも言うかのように、身体が何かを感じ取る。 ウ/ポ/ザ/レ族達:「?」 人間以外の種族達は不思議そうに辺りを見回したり、魔法を放ちながらも自然と土人形から遠退くように身体が動いていた。 ボスッボスッ…と魔法が土人形にめり込み、吸い込まれていく。吸い込んだり、貫いたりを繰り返しながらも、土人形は彼等に対しての攻撃は止むことはなかった。 土人形の異変はじわじわと大きくなるということはなかった。 < ピタッ > 止まることのなかった土人形が一瞬だけ動きを止めた。 その瞬間、土人形の身体中がボコボコボコと内部からうごめく。 十真:「うわっ…気持ち悪っ」 土人形の中に虫か何かが明らかにいるように中で苦しみもがく。 十真は両腕を抱くと、ぶるぶると気持ち悪さを表現するかのように震える。 攻撃、防御、傍観していた彼等は手や頭を休めて土人形をじっと見つめていた。 リバウンドとしては、やや違和感を抱く妖精達がいた。 フォルメント:「(…何なの?、この感じ…『階級なし』でのリバウンドは珍しいということではないんだけど…)」 フォルメントは十真の確かな不安を感じながら、近くにいた妖精達を観察する。 彼等もまた、仲間内でアイコンタクトをし合っていた。 うごめく土人形は動きをやがて止め、完全に固まる。 うごめきは徐々に激しさを増し、内部からの凹凸(オウトツ)が最初の3、4倍になる。 そのくらいになった瞬間に、その凹凸が土人形の第二の腕となって身体から無数に彼等の方に伸びていく。 十真達:「!!?」 フォルメント達:「!!」 突然の変化に十真達、種族達の防御係が…仲間の盾となって無数に伸びてくる第二の腕の前に立ち魔法を放つ。 水、風、火、土…自分の1番得意で力を活かせる魔法を力の限り発動させる。 魔法を放てず、此処に仲間がいなかった十真は目を丸くしてその場に立ち尽くしていた。
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