第六章

11/18
前へ
/1380ページ
次へ
十真:「(嘘だろぉーっ!?)」 内心ではあわてふためく十真(とおま)だったが、驚きすぎた彼は立ち尽くすように固まっていただけだった。 フォルメント:「!」 フォルメントは素早く十真の前に立ちはだかると、防御魔法を放つ準備をしていた。 ?:「人間ボーイ!、こっちだこっち!」 その時、十真の耳に不思議な名前が入ってくる。「人間ボーイ!、人間ボーイ!」と連呼されながら、その声が近づくのと同時に、土人形の第二の腕の一部分が向かってきていた。 十真はようやくそれが自分の事だと気付き、振り向こうとした瞬間…目の前が影で暗くなる。 ?:「メトン、水だ、水ぅっ!、ぶっ飛ばせぇっ!」 影の正体は男のザイル族だった。彼は妖精の名前を口にすると身体が光り輝くと水を大量に放ち、壁を作る。 第二の腕は水によって流され落ちる。 十真:「なっ…何…?」 壁は第二の腕を流し終えると、十真のように仲間のいない彼等の盾となってさすらっていた。 フォルメントもメトンという名の妖精をつれたザイル族がした事に驚いていた。 十真:「あの人(?)は一体…」 十真はハッと我に返って土人形の第二の腕から赤いボードを巧(たく)みに動かして、避ける。 土人形の攻撃が止む気配を見せることなく彼が避け続けていると、視界の隅に気になる彼等を発見する。 その人は『人間族の西洋風金髪少女』だった。 よく見ると彼女は十真とは違って魔法を扱えない、という立場ではなかった。 フォルメント:「(…どうしたのよ?、あの子が気になるの?)」 すると、フォルメントの声が頭の中に響いて来た。 十真はハッとして我に返ると、左手で頭を掻く。 十真:「(んー…何て言うか…そんなんじゃないんだ…だけど…なんか…)」 「気になる」と言おうとした瞬間、土人形の第二の腕が西洋風金髪少女の隙を衝(つ)いて赤いボードを跨(また)ぐ左足を掴む。 左足は土にめり込み、グイッと西洋風金髪少女を自分のほうに引っ張り落とす。 金髪少女:「キャッ…」 いとも簡単に引っ張り落ちた西洋風金髪少女の近くにいた十真が素早く彼女の許に行って右手を伸ばして左手首を掴む。 金髪少女:「一一あっ…」 西洋風金髪少女は十真を見上げて安堵するが、赤いボードは落下していった。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加