第六章

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西洋風金髪少女の妖精の♀はあたふたしながら彼女のまわりを飛び回る。 十真:「おい…大丈夫か?」 金髪少女:「あ、ありがとう…助かったわ…」 十真(とおま)に英語が話せないという不安に陥ることはなかった。妖精達がいる限り、それは不要な心配だった。 十真は落ちていった赤いボードを目で追っていくと一一 ドゴォーンッ、という地響きと共にうごめきながら捕まえた彼等を引っ張り落としていた土人形の身体が突如、二つに裂けた。 十真:「えっ!?」 二つに裂けた土人形は形を変えながら左右対象に砂漠の上に落ちると、中央から巨大な大口が現れた。 巨大な大口の中に西洋風金髪少女の赤いボードが落ちていった。 金髪少女:「あ…」 西洋風金髪少女の口から小さな声が洩れる。 十真:「フォルメント…あの化け物…あの土人形なのか??…それに彼女の赤いボードは…」 フォルメントは難しい表情をしている。彼女が答える前に元土人形は再び第二の腕を蔓に形を変えて十真達に襲い掛かる。 十真は西洋風金髪少女を左手にぶら下げたままだった。そのままでいるわけにはいかなかったので、落下したであろうポイントを見つめたまま赤いボードを思い浮かべた。 フォルメント:「トオマ、あたしが一一」 フォルメントが十真がやろうとした事を読み取り、魔法が放てない彼の代わりに魔法発動をしようとして腕を伸ばす。 すると突如、ゼファルの問い掛けが十真の脳裏に浮かぶ。 ゼファル:「『親切で教える』ことと『優しさで教える』こと一一」 ゼファルがいったシチュエーションとは違っているが、彼が言った自分の立場と西洋風金髪少女の立場が同じものに見えた。 十真:「(一一フォルメントが今したのは『優しさ』、俺が彼女のためにしようしているのは『親切』。彼女にとって俺とフォルメントがしようとしているのは一一)」 十真は西洋風金髪少女と目が合う。彼女は何とも言えない表情をしていた。 それは一一『お節介をしないで』や『礼を言っている』ように見えた。 十真:「!!」 ゼファルが十真に求めた答えが本当に見えた瞬間、十真とフォルメントの身体が同時に光り輝きだした。
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