300人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ
「入学式の時にね、すっごく可愛い男の子にあったの!新入生だったみたいなんだけど……目がくりっとしてて笑顔が愛らしい子だったの」
麗花はあの日の光景を鮮明に思い出した。
まるで映画のワンシーンのように、麗花の頭の中に強烈に焼き付き、なかなか忘れる事が出来ずにいた。
「へぇ~。珍しいじゃん。麗花が男の話するなんて」
愛美は作業を止めて、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら麗花を見ていた。
「たまにくらいするわよ」
恥ずかしくなった麗花は、愛美を見ないようにうつむき加減で作業を続けた。
そんな麗花を知ってか知らずか、愛美は天井を眺めながら考え事をしている。
「新入生…可愛い……式に遅刻………」
ぶつぶつと独り言を喋り続ける愛美の足を、麗花はコツンと蹴った。
「早く終わらせるよ」
「ねぇ!!」
考え事をしていたはずの愛美が突然、麗花に顔を近づけてきた。麗花は驚き目を丸くして愛美を見た。
「その男の子ってさ……」
最初のコメントを投稿しよう!