イカロス症候群

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 椅子の背凭れに体を預けて、彼女はわざとらしく伸びをした。そうして、シャープペンシルを二度ばかりノックすると、生真面目そうな顔をしてノートと参考書に向かう。自習室の、一つの机を二つに隔てる隔壁を通して、彼女の声が聞こえて来た。意地悪が大好きな、性格の悪い声だった。 「好きなように受け取るといいよ」   了
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