野獣と美女(野獣)

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僕はなんでこんなところにいるの…? そう思っても、誰も教えてくれない 独りのまま謎など解決できず、ただ考えることしか出来ない 心が押し潰される音が頭蓋骨に響いて 外から人の声がすると わくわくと膨らむ音がした。 四、五人の男女が森の中に入ってきて 興味深く木の上で聞き耳をたてた。 いつかの水溜まりに映った自分と似ていたその集団は 鳴き声を発しながら二足歩行をする 自分も二足歩行をマネし いつの間にやら鳴き声の意味もなんとなくわかるようになった。 産まれた時からいるコンクリートの塊のようなビルには たくさんの文字や記号が書かれた『本』というものがあり 読んでくうちに文字や記号の意味もわかるようになった。 本棚の中にはいくつもの『ファイル』も置いてあった。 そして机の中にはA4の紙がホッチキスで上二ヶ所とめられた『書類』というものも入ってた。 端から読みあさった。 その結果、わかったコトは 自分は研究材料だった。  
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