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子供の頃の記憶は一つだけ覚えている
注射器を乱暴に首に刺されて
変な液体が流れ込んで来た。
僕は言葉に表せないほどの
切なさ、悲しさ、寂しさ、やるせなさ、怒り、憎しみ
ふつふつ沸き上がる初めて感じる感情に
どうしようもなくなって一心不乱に掻き消そうとした
その後
部屋は真っ赤になった。
もう注射器を向ける人は誰もいない
何もない
ただ作られた光と今作った静寂の中で
僕は親指をくわえて眠りについた。
それが唯一の小さい頃の記憶
あの部屋は今も僕の部屋だ
今では真っ赤ではなく根っこと葉っぱだらけだ
こっちの方が落ち着く
でもたまに僕の部屋にいきなり入ってこようとするやつがいる
僕は注射器をまた向けられるのではないかと思い
その都度、そいつらの誰か一人を
どこでもいいから噛みちぎって肉をもいだ
すると数分もすると悲鳴と一緒に皆去っていくのだ
たまに気絶するやつがいる
そんな時は森の外に捨ててやると次の日いなくなっていた。
ずっと繰り返された。
それが一番の解決方法だと思っていた。
だけど、この方法は一番ではないコトを
僕はその後、知ることになる
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