平穏と平和

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美咲の隣で、祖母は静かに呟いた。 「あれから、時代は変わった。本当に……」 「おばあちゃん……?」 いつもとは別人のような、真剣な顔をした祖母だった。 突然の言葉に美咲は不思議そうに首を傾げた。 「今、この平和に暮らせるのも……全ては過去に生きた者達からの導。 そう、この桜の木も……」 何か、深い意味のあるような言葉を途中で途切らす。 彼女の真っ直ぐな視線は、やはり桜の木に向かっていた。一体、何を言いたいのだろうか……。 美咲は更に眉を潜める。 「ねぇ……おばあちゃん、何が言いた……」 「美咲にも話しておくべきかかの……姫巫女様よ」 一人でぼやぼやと呟き、全く話を聞かない祖母に美咲はため息をつく。 暫くし 我に戻ったように祖母は目を見開き、申し訳なさそうに美咲の方を向いた。 「少しボーッとしてたようじゃ。ごめんな、美咲」 「大丈夫だよ! けど……」 美咲は言いかけると、廊下から降りて裸足で庭へとかけていった。 立ち止まった場所は…… あの2本の桜の木の下。 桜に紛れ、美咲は微笑みながら祖母を見つめていた。 「さっきから不思議に思ってた……おばあちゃんの言った大切な日ってのと……意味有りげなこの桜の事、教えてよ!」
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