18人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「……そうか」
優しく笑うの美咲を見て、祖母は驚いたように目を見開いた。
誰かと美咲を、照らし合わせるかのように、祖母の脳内には一人の女性の姿が浮かんだ。
巫女の衣装を纏い、長い黒髪に桜の簪が目立つ特徴的でとても大人びた容姿。
燐とした、真っ直ぐで強い眼差し。
けれども、笑う時はまるで可愛らしい少女のような顔を見せる、そんな女性。
「教えてよー!」
「……分かった」
――いずれ話すときが来ようとは思っていた。
この桜と、何十年前もの今日という日のことを。
祖母も廊下から降り、近くにあったげたを履いて美咲の元へ向かった。
そして、枝の影の隙間から、桜を見上げた。
美咲もそれにつられ、眩しそうにしながら桜を見た。
最初のコメントを投稿しよう!