終わりの始まり

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――ガタガタカダっ! 何か、重いものが階段を転がる音で目が覚めた。 母親の悲鳴らしき音も聞こえる。 両親が喧嘩しているんだろうか? いや、でも喧嘩に暴力が出てくるような人達でもないし… 第一喧嘩してる所を見たことがない。 捉えようのない恐怖を感じながら、私は廊下へ出る。 ――真っ赤な絨毯が、血の絨毯が、広がっていた。 それを作り出しているのは私の母親で、今もとくとくとお腹や腕や足から血を流して広げている。 ああ、何か刃物でたくさん斬りつけられたんだ。 父親がそんなことする訳ないから、もしかしたら空き巣みたいなものにやられたのかも。 なら、さっきの階段から何かが落ちる音は、犯人と父親がもみ合った結果かもしれない。 でも、犯人を階段に落としたなら父親はすぐ母親のもとへ助けに来るはずだ。 それで来ないということは…もう動けない状態なのかもしれない。 ものすごく冷静な自分に、嫌気がさす。
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