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「あたしは先手必勝!って思ってるけど、それは女だから出来ることであって、
男で先手必勝なんてしてたら卑怯者よばわりされると思う。
キリストみたいに右の頬シバかれたら左の頬も差し出せとは言わんけど」
あたしは標準語が話せない。
こっちに引っ越してきてまだ日は浅い・・・と、思う。
半年も経ってない。
話し言葉が関西弁で、周りはみんな標準語。
好奇の目で見られるのが苦痛。
だから、しゃべらなくなった。
そしたらみんな怖がって近寄ってこない。
高校は大阪へ戻りたいと思っているけど、どうなるか分からないし・・・
少しの間のガマンだ。
「人を殴るのって痛い?」
この間よりはだいぶしっかりした話し方になっている。
最近は学校が終わったらダッシュで帰ってきてると言っていた。
足が速いのに自信があるみたいでそのおかげでおいつかれずに無傷で済んでいるとのこと。
「うーん、殴るの痛いっていうか・・・自分が殴られると痛いやん?だから先に殴る😆」
ルカが無言になる。
「っていうか、相手のこと考えてしまうならケンカなんか最初からせんほうがええ」
ぽんぽんと頭をなでてやる。
「力で負けてても気持ちの上で勝つこともあるし」
「気持ちの上で勝つ・・・?」
「そ。間違ったことをしていなければ。それが誰かの為になっていれば」
あたしの心の中に、小さな疼きが甦る…
そんな疼きは、無視をする。
過ぎたことだ。
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