分岐点

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病室は六人がギューギューに詰められたような大部屋だった。 わたしはその部屋の一番奥の窓際のベッドだった。 わたしをそのベッドに残し、両親は医者に詳しい話しを聞きに行った。 隣のベッドの老人は酸素をマスクつけて寝ていた。 向かいのベッドのおばさんはじっとこっちを興味深げに見ている。 入口のおばさんは看護師になにやら文句を言っている。 なんだか居心地が悪かった。 そしてどのくらい時間がたったのだろう。 戻って来た両親は、笑ってはいるが、それが作り笑いだとすぐにわかった。 しばらくの間、無言が続いた。 沈黙を破ったのは父親だった。 「県立の大きい病院に移ろう。」
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