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何でわざわざ外に呼び出したのだろうと不思議に思っていた彼だが、彼女が持っていた物に納得する
「殺るならやれば?」
鋭利な刃物。成程人通りが皆無と言っていいここなら後も楽だろう
「貴方が何処かへ行く前に……」
ボソリと呟き近付くと
ズブリ、と躊躇いなく全体重をかけ無抵抗な青年へ刃を埋めた
「っ…!」
腹部に刺された切っ先
しかしこれでは確実には死なないだろう
そう思いながら痛みに顔を歪める
「い゙ぁッ!!」
グチュ、と刺さったモノをえぐる様に掻き回し、一度抜き取られる
「かハッ…」
抜かれた拍子に少量の血を吐いた
「いたいー?」
刺された場所を押さえ苦痛に歪める様を見て、嬉しそうに女は笑う
「私を想って」
もう一度構える
「逝ってね?」
今度はさっきより深く、心臓の近くに刺さった
「ぐッ…ぁあ゙ッッ!!!」
ぐらりと地面に倒れながら、やはり元には戻らないのか。と思いながら
視界に入った笑っている彼女を見て、眼を閉じた
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