303人が本棚に入れています
本棚に追加
タクヤの自転車はかなり古くて激しく揺れた。
振り落とされないように必死に肩にしがみつく。
タクヤは背が高いから、後ろからだとほとんど前が見えない。
目の前を真っ黒に覆う学ランから、かすかに雨の匂いをミサは感じた。
雨じゃなかったらこんな事は起きなかった…
そんなことを考えている内に、自転車はミサの家の前に来ていた。
『ここだよね?はい、お疲れっ!』
タクヤはそっとブレーキをかけて降りた。
『ありがとう。じゃぁ、急いでるから!』
ミサは逃げるようにタクヤに別れを告げて家に飛び込んだ。
顔がカーッと熱くなり、倒れそうだったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!