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「ほら!ご飯できたよ!さっさと出て来い!!」
ドアの向こうから機嫌が悪そうなお母さんの声が聞こえてくる。
私は涙を拭き、捲くっていた袖をおろして部屋を出た。
重たい足を引きずりながらリビングに向かう。
テーブルの上には、冷めきったご飯・・・・と言うより、コンビニのお弁当が置かれていた。
「いただきます・・・。」
ふたを開けて、ご飯を食べる。暖かさなんか感じない。
それより、寂しさがある。
お母さんが作ったご飯の味なんか覚えていない。
お母さんが食べているものを見る。・・・ちゃんと、作ってあるものだった。
湯気が立っていて、いいにおいがする。
私は思わずずっと見てしまっていた。
「何見てるのよ。」
冷たく言い放たれた言葉が私の目線を下げた。
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