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テーブルに置かれた札束の入った茶色の封筒。
ああまたか、と一瞥する。
封筒の側には“尚へ”と書かれた白い封筒が一つ。
手にとって中身を覗いてみると手紙が入っていた。
取り出して開いてみると真ん中に小さな字で“今月の分。 ちゃんとご飯食べてね 母”とだけ書かれていた。
コーヒーだろうか、茶色の染みがついていた。
手紙を適当にたたみ、ごみ箱に突っ込んでソファーに座る。
朝は特に何もする気が起きない。
まあ学校も春休み中だから行く必要はないし、誰かと約束をしてるわけでもないから外に出る用事はない。
家でごろごろしてればいいだけの話なのだがこの家に居ると息が詰まって仕方がないのだ。
「何か面白いことねぇかなー」
今は独り言も多くなった。
家の中を見渡してみるとピンク色の封筒がホワイトボードに磁石で留めてあるのに気づいた。
そのピンク色の封筒が何故か気になってホワイトボードに近づいて封筒を手に取る。
普通の封筒。
変わったところは特にない。
まだ開かれてはいないようで、親のものだったらどうしようかと思いながらも俺はその封筒を開いた。
「手紙……」
封筒と同じ色のピンク色の手紙。
二つ折りにしてあったので開いてみるとパソコンか何かで打ったのだろう、機械的な文字がつらつらと並んでいる。
『人形は要りませんか?』
最初の一文にはそう書かれていた。
俺はどんどん読み進めていく。
『貴方だけの人形を只今無料でお渡ししております。
受け取っていただける方はこの手紙を読んで三日以内に所定の場所にお出で下さい。』
手紙の下の方にはどこかの住所と地図が書かれていた。
なんだ、この奇妙な手紙。
変だと思いながらもなんだか気になる。
人形をくれるって?
しかも無料?
いわくつきの呪い人形とかじゃねぇだろうな。
でも丁度退屈してたとこだし、場所もそんなに遠くなさそうだし。
さっそく明日にでも行ってみるか。
善は急げって感じ?
ちょっと違うけど。
電車に揺られて隣町に来て少し歩いた。
地図に記された場所に辿り着くとそこはとんでもなくでかい洋館で思わず息を呑む。
門につけられているインターホンを押そうとしたら不気味な音を立てて門が開いた。
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