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案の定、それから先生の姿を見る事は無かった。
俺が働く様な小さな運送屋では、急に姿をくらます者は珍しくないのだという。
会社は、さして気にするでも無く、通常通りに営業していた。
俺には、あの夜の事を言える人間は居ない。
(喰われてしまったのか)
まさか、そんな事も無いだろう。
先生は、あの土地を昔住んでいた土地だと言っていた。
もしかしたらあの平屋は、元奥さんが住んでいたのではないだろうか。
何かの理由で別れた夫婦が、目印を合図によりを戻す話は有名だ。
蛍光塗料を塗った下着を庭先に干しておくのが、元奥さんとの約束の合図だったのかも知れない。
だとしたら、今頃、先生は元奥さんと幸せに暮らしている事だろう。
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